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俺の官能小説は刺激的だ!

「官能小説に刺激はいらない」超高齢社会を生きるアダルト業界の今(安田理央)

http://ironna.jp/article/8364

読んでずっこける。

ここで言われている刺激的な官能小説というのは、どうやら「ハードな凌辱物」らしい。そして、それの対にあるのが「癒やし」系であり、そっちはあまり刺激的ではない、という前提で話が進められている。

待て、待て、待て。

凌辱系と癒やし系が2本柱だったのなんて、前世紀の話だぜ(凌辱系のほうが癒やし系より刺激的という見解にも、ものすごく違和感を覚えるが、とりあえず置いておく)。

それ以降、睦月影郎が時代官能ブームを起こしたり、神崎京介の『女薫の旅』がベストセラーになったり、幻冬舎アウトロー文庫で団鬼六、館淳一、藍川京の再評価があったり、官能小説界もいろいろあったわけだが、そういうのもすっぽり落として、相も変わらず20年前のパラダイムで物を言われちゃ、古くさくて読むに堪えない。

だいたい、「官能小説っていうのは……」って十把一絡げで語りたがる輩は、どういうわけか俺を無視したがる。俺は今年12冊の文庫を上梓し、俺より官能小説を書いてるのなんて睦月さんくらいなのに、さっぱり触れようとしない。わざとだな? 本文に出てくる、「作家が40歳のヒロインを設定すると、編集者から39歳にしてくれと注文が入ったというエピソードも聞いている」ってこれ、安田氏が構成した座談会で俺が発言したことだからね。でも俺の作品世界には触れない。俺に触れると、あらかじめ用意してあった薄っぺらい結論に辿り着けなくなるからだ。

特選小説の名前が出ていたから、特選小説に連載していた作品を例にとると、今年文庫化された『欲望狂い咲きストリート』は、シャッター商店街がピンサロ通りに変貌していく話で、欲にまみれて堕ちていく人々を6人の多視点から描いている。女教師を地下室に監禁して延々調教している作品より、刺激的なつもりだがどうか? 現在、特選小説に連載中の「あやまちは夜にしか起こらないから」は、ポリアモリー(複数恋愛)をテーマに掲げ、ジェラシーとコンプレックスと欲望でぐちゃぐちゃになっていく人たちを描いているが、人妻を輪姦して牝奴隷にする話のほうが刺激的だろうか?

俺は凌辱物だの癒やし系だの、そんな古くさいパラダイムの外で官能小説を書いているし、月に1冊文庫が出せる程度には、読者に支持されている。

もちろん、オーソドックスな癒やし系らしき作品も書いているが、それだって3人の若叔母に浣腸するより刺激的でないとは思っていない。そもそも官能小説における刺激というのは、監禁とか輪姦とか浣腸とか、ハードプレイをとりあげればいいってものではないからだ。監禁物にだって刺激的な作品もあれば、そうでない作品もある。そういう当たり前のことをすっ飛ばしてなにが言いたいのかといえば、読者の高齢化? 読者もまた、十把一絡げのステレオタイプな認識にうんざりしていることだろう。

見識を疑い、猛省を促す。

カテゴリー: [日記] - 10:24:00

ページ管理者:草凪 優
イラスト:小玉 英章