「エシレでバター買ってこうかな。柚木麻子の『BUTTER』に出てくんじゃん」 「あー、あれ面白かった?」 「まあ……その……力作であることは間違いないけど……とにかく、バター醤油ごはんが食べたくなった」 「わたし、半分でとまってる。なんでかなかなか進まない」 「(そりゃそうだろ。ありゃあ木嶋に動揺して、嫉妬に身悶えてる側の話だよ。おめーは木嶋側じゃねーか。見た目が綺麗だから動揺を誘わないだけで)……疲れてるんじゃないの? 読書も体力使うしね」 「そうかな?」 「そうだよ」