トップページ日記2017-05-16 > 『僕とカノジョの密やかな30日』佐鳥小五(マドンナメイト文庫)

『僕とカノジョの密やかな30日』佐鳥小五(マドンナメイト文庫)

なぜか版元から献本が送られてきた。新人さんらしい。よほどの自信作なのだろうか。俺が人の作品の悪口しか言わないひどいやつだってことを知らないのだろうか。

ペンネームが小五って……と、嫌な予感を覚えながら読んでみると、意外にも爽やか。しかも文章が達者だ。ロリ小説の核心的な描写がずいぶん薄められているような気がするが、そのぶん読後感がいい。

まずモテない若者が公園で女の子を拾ってくるというアイデアに引きがある。

俺なら四十路のおばさんを拾ってくるけどな、と一瞬思ったが、そんなすれっからしの薄汚れた感性とは無縁の清らかさがあって、「すずのオマ×コ……とっても可愛いよ」という台詞に胸を打たれる。台詞がいいんじゃなくて、こういう台詞を成立させるために何百枚も費やすのが官能小説なわけだから、並みの書き手ではない。

こういう世界観っていいよね、2作目、3作目と続けていくうちに、もっと進化しそう、と思うのだが……。

うーん……。

褒めてばかりで終われないところがあるのも事実で、とにかく主人公のキャラが弱いよ。弱っちい男を描くことと、キャラが弱いのは別問題。テンション低すぎる。ヒロインの造形が悪くないのに、イマイチ迫ってこないのはそのせい。

一人称に近い三人称を達者に使ってるけど、タイトル通り思いきって一人称って手もあったのでは? あと中盤の三角がきっちり組めてない。ここがドラマチックに盛りあがれば、また別の印象になったかも。出だしとラストがいいだけに残念。

ということも含めて問題作。注目の新人であることは間違いない。あ、梅干しチャーハンはよかったです。

カテゴリー: [日記] - 07:16:24

ページ管理者:草凪 優
イラスト:小玉 英章