トップページ日記2016-08-12 > ポルノにマニュアルは存在する

ポルノにマニュアルは存在する

これだ。

http://urx.blue/xHLa

『作家養成講座 官能小説編』(KKベストセラーズ)

エロ作家仲間と会ってもあんまりそういう話にならないが、ここに記された田拝聡一郎氏(誰なんだよ。知ってるけど)の「官能小説創作親切丁寧マニュアル」は、この手の論の中ではもっともよくまとまっているものだと思う。氏が編集長を務めていたポルノ文庫のマニュアルそのままだからだろう。一方そのオポジションとなるポルノ文庫でも俺は仕事をしているが、極めて似たようなマニュアルをもっていた(書籍じゃないから簡易なものだが、考え方はほぼ一緒)。

というわけで、ここに記されたセオリー通りに書いていけば、ポルノ小説はほぼ書ける。間違いない。問題はこの本が出版されたのが2000年と16年も前であり、その後に業界の流れが変わったという事実である。2004年に草凪優がデビューして変えたのだ、というのは冗談だが、実際、俺の作品はこのマニュアルでNGを出されていることばかりやっているし、そもそもこのマニュアルを超えていかなければ未来がないと思って、明確に敵意をもって書きはじめた。俺をデビューさせてくれた双葉文庫の担当様にも、そういう認識があったと思う。

時代の流れという意味においてもっともわかりやすいのは、睦月さんがこのマニュアルで否定的に扱われている時代官能で、その後にヒットを飛ばしつづけたことだろう。睦月さん自身、この本にフィーチャーされているわけだが、田拝氏がもっとも信頼を寄せていた作家のひとり、つまりこのマニュアルを成立させた張本人であったわけだ。その睦月さんが、このマニュアルからはみ出した作家活動を開始したことをもって、時代の変換点と言っていいと思う。

とはいえ、それではこのマニュアルが古ぼけた役立たずになってしまったのかというと、そうではないと思う。ある意味、これは完成された体系であり、現在ポルノ小説を書くという行為は、このマニュアルとのせめぎ合いの中にしかあり得ないのである。このマニュアルが示しているセオリーがわかっていないと、裏をとったり、はずすことができない。なにより、編集者とのコンセンサスがとりづらい。

これから官能小説を書いてみようと思っている奇特な人には一読をお勧めいたします。

ちなみにこの本には、館さんが女のパンツを金庫に隠してる話とか、睦月さんの漫画とかも載ってて読みごたえ満点だ。睦月さんの漫画の中の台詞に、こうある。「私の全盛期は、向こう20年は続くぞ」……あと4年だな(笑)。

追記
なぜこんなことを書いたかというと、こないだ会った業界の先輩と後輩がどちらも揃って、新人からエロ小説の書き方を教えてくれと言われた経験があると言っていたからだ。どう考えても俺のほうが明確な答をもっているのに、どうして誰も俺にそういうことを訊いてこないのだろうとジェラシーにかられ、おのれの人望のなさにやりきれなくなり、夜も眠れなくなったからである。まあ、訊かれても答えませんけどね。自分で考えろ! って怒鳴りそうだけどさ。

カテゴリー: [日記] - 11:41:14

ページ管理者:草凪 優
イラスト:小玉 英章