俺は高校中退、大学中退で、日本の学校教育とは手が合ったことが一度もなく、なんなら小学校から全部行かなくてもいっこうにかまわなかったと心の底から思っている人間だが、小学校の家庭科はけっこう役に立つことを教えてくれたと思っていた。ボタンがとれたら着け直せるし、手を切らないように包丁を使える。
で、俺は47歳のいままで、小学校の家庭科で教わったことを忠実に守ってきた。
ゆで卵だ。
小学校の家庭科の先生は、水から卵を入れて、沸騰させてから10分前後と言っていた。分数の記憶は曖昧だが、「水から卵を入れて」というのはきっちり覚えていて実践してきたわけだ。
しかし……。
昨日親切な人が教えてくれたのだが、「沸騰してから卵を入れたほうがうまくつくれる」らしいのだ。もちろん、手間も簡単だ。沸騰するのを見守ってなくていいからだ。目の前でつくってもらったら、なるほど俺がつくるよりうまかった。帰ってきてネットで調べたら、それこそプロの技で、学校で教えているやり方は面倒くさいだけらしい。
俺が小学校を出たのは70年代のことなので、現在は「沸騰してから卵を入れる」と教わっていると思うが……なんかスゲー腹立つ。ってゆーか、ゆで卵ってエロいですよね。俺のセクシー・フード・ベストテンでは、レバ刺しの下で、マンゴーの上。