トップページ日記2011-09-16 > 青春の味

青春の味

東京に行って、沖縄の食事はうまいですか? と訊かれると困る。それも、きっちり修業した板前が築地で食材を吟味し、下ごしらえもばっちりみたいな料理を食いながら訊ねられると、苦笑いするしかない。

料理に★をつけるような感覚で言えば、沖縄の料理はうまくない。

現地で食えばうまいですよ、と苦し紛れに言ったりするが、相当あやしい。

ただ、僕は東京に住んでいるときから★がつくような店は苦手だった。東京っ子の僕は、もんじゃ焼きを愛し、ホッピーを愛し、下町ハイボールを愛し、ハムカツを愛する。ホルモンは豚に決まっているし、立って食う蕎麦や鮨も大好きだ。

もんじゃ焼きなんてものは、わざわざ遠くまでに食いにいくほどのものではない。要するに、お好み焼きをつくるほどの材料がない食糧難時代の産物であり、料理としてはかなり貧しい。お好み焼きやたこ焼きに比べてさえそうだ。

しかし、そこには少ない具材でお腹を満たし、作り方を工夫して場を明るくしようという心意気があった。お婆ちゃんが腹減って泣いてる孫につくってあげる場合は、愛情があふれていた。具材は貧しくても、こうすればお腹がいっぱいになるし、楽しいでしょう、という。

僕がゴーヤチャンプルなんかに感じるうまさっていうのは、そういう心根に通じるものである。シャンパンにキャビアというのが退廃の味であり、爛熟の味とするなら、チャンプルーっていうのは青春の味なのである。

今日もしんどかったけど、明日もしんどいぞっていう人間に活力を与える味だ。

僕はそういう食べ物が好きなのである。

カテゴリー: [日記] - 22:24:14

ページ管理者:草凪 優
イラスト:小玉 英章