トップページ日記2008-04-20 > 「編集者がいいと作家はいくらでも書ける気がするんだよ」

「編集者がいいと作家はいくらでも書ける気がするんだよ」

と言っていたのは、ふともも作家の異名をとる牧村僚という偉い人。言われた僕はそのころまだ駆けだしで、草凪優という名前でもまだ書いてなくて、編集者なんてひとりしか知らなかったので、まったくピンとこなかった。いや、編集者なんて誰だって、自分が頑張らなきゃしようがないじゃん、くらいに思っていた。

でもまあ、いまならよくわかる。自分の著作リストを見ると、担当編集者によって見事にカラーが違っていて、それぞれの担当者に相当刺激を受けてるなー、と。ちなみに「いくらでも書ける」のではなく、「書ける気がする」という言いまわしがいいのだ。どんなすごい編集者がきてもいくらでもは書けないけど、こう、体の内側からやる気がみなぎってくる感じ。最近しみじみ思うのだが、わざわざ電話して言うのもなんなんで、ここに書いておきました。

牧村さんには小説の書き方もいろいろ教わったのだが、いちばん教わったのは編集者との付き合い方かもしれない。渡り合い方というか、駆け引きというか、したたかで繊細でやさしい。全然マネできてないけど、あのインサイドワークを垣間見てなかったら、けっこうやばかったかも。

なんでこんなことを書いてるかと言うと、実は牧村さんは全然関係なくて(笑)、編集者さんとの関係も永遠ではないのだなー、と最近しみじみ思うから(しみじみばっかりだな)。まあ、こっちがダメなの書けば切られるのは当然としても、そうでなければ、いつまでも付き合ってもらえるという気分があって、でも編集者はやっぱり組織の人だから、会社を辞めたり、現場を移動したり、偉くなっちゃったりする。一期一会とまでは言わなくても、出会いもあれば、別れもあるわけで……。

「編集者がいいと作家はいくらでも書ける気がするんだよ」と言ってた牧村さんも、自分を刺激してくれてた編集者との別れを踏まえてそう言ってたはずで、牧村さんだけじゃなくて、キャリアの長い巨匠・御大・超人(笑)の方々は、たぶん例外なくそういう気分を味わっているのだろう。

今日はオチなし。いつもないけど。

カテゴリー: [日記] - 05:39:34

ページ管理者:草凪 優
イラスト:小玉 英章